遠州横須賀の町を練り歩く「祢里(ねり)」は、江戸文化の粋を今に伝える貴重な遺産です。二層構造の屋台、一本柱の上に掲げられた趣向を凝らした「だし(人形)」、そして精緻な木彫りと金箔。 ここでは、祭りを彩る13町の祢里それぞれの特徴と、受け継がれる誇りをご紹介します。
祢里の構造を知る(基礎知識)
各町の紹介に入る前に、祢里の独特な構造を簡潔に解説します。
- だし(出し物): 祢里の最上段に飾られる人形。各町で異なり、歴史上の人物や神話の場面が再現されます。
- 万灯(まんとう): だしを支える一本柱の周囲を飾る、華やかな装飾。
- 天幕(てんまく): 下段を囲う刺繍入りの幕。龍や虎など、町ごとに格式高い意匠が施されています。
- てこ(梶棒): 祢里の進行方向を決める重要な棒。これを操る「てこ係」の動きは祭りの見どころです。
十三町 祢里図鑑
遠州横須賀には、それぞれ異なる「出し物」を冠した13の祢里が存在します。これらは江戸の「天下祭」の形式を色濃く残す、移動式の芸術品です。
| 組名 | 町名 | 出し物(人形)の名称 |
| い組 | 西本町(にしほんまち) | 太田道灌(おおたどうかん) |
| ろ組 | 東本町(ひがしほんまち) | 司馬温公(しばおんこう) |
| は組 | 中本町(なかほんまち) | 高砂(たかさご) |
| に組 | 西田町(にしたまち) | 鞍馬山(くらまやま) |
| ち組 | 十六軒町(じゅうろっけんちょう) | 素盞鳴尊(すさのおのみこと) |
| か組 | 河原町(かわらまち) | 川中島(かわなかじま) |
| た組 | 東田町(ひがしたまち) | 五條大橋(ごじょうおおはし) |
| あ組 | 新屋町(あらいまち) | 神功皇后(じんぐうこうごう) |
| め組 | 東新町(ひがししんまち) | 日の出に鶴(ひのでにつる) |
| み組 | 西大渕(にしおおぶち) | 南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん) |
| ゑ組 | 軍全町(ぐんぜんまち) | 大森彦七(おおもりひこしち) |
| せ組 | 大工町(だいくまち) | 稲村ヶ崎(いなむらがさき) |
| 旭組 | 西新町(にししんまち) | 二見ヶ浦(ふたみがうら) |
